ANA VISAワイドゴールドカード リボ払いの解説
ANA VISAワイドゴールドカードは、ソラチカに次ぐ、陸マイラー必携のクレジットカードと呼ばれています。
それは偏に、リボ払いの仕組みを巧みに利用することにより実現される、1.5%超という高還元率によります。
今日は、そのうち、リボ払いの仕組みに絞って、説明したいと思います。1.5%の積算についての記事は、別途作成したいと思います。
一般的なリボ払いの特徴
クレジットカードは、何も言わずに使うと、一括払いになるのが通常です。
ところが、各社には自動リボ払いコースがあります。この制度は、何も言わない限り、支払が全て、事前に決めた金額でのリボ払いになるメニューです。
リボ払とは、借金をして物を買っていることと同等なので、手数料(利息)がかかります。その金利たるもの、国債利回りがマイナスになるような超低金利の世の中でありながら、年15%と信じられないような爆利です。
そのため、クレジットカード説明サイトやフィナンシャルプランナーは、リボ払いは禁じ手として「絶対やるな」とアドバイスしています。
一方、クレジットカード会社は、色々と特典をつけて積極的にリボ払いを推進しています。理由は儲かるから。いまどき、15%の金利が取れるのですから、企業側から見て、多少貸し倒れのリスクがあっても、おいしい商売なのです。
マイ・ペイすリボの特典
三井住友カードのマイ・ペイすリボも上記の自動リボ払いサービスです。利用すると15%の手数料が課せられます。
では、マイペイすリボは、15%の利息を課す代わりに、ANA VISAワイドゴールドカードホルダーに何を提供してくれるのでしょうか?
具体的には、以下のとおりです。
- ポイントが2倍
- 年会費が割引
- お買物安心保険(動産総合保険)付保
結構魅力的ですね。ただし、追加で付与されるポイントはボーナスポイントです。ANAマイルに換算するレートが通常ポイントより劣りますのでご注意ください(この点は、また別の機会で説明したいと思います)。他社も同じようなリボサービスを用意していて、特典もてんこ盛りです(JCBの支払い名人など)。
ただ、いくら特典が多いといっても、年15%の利息です。はっきり言って割に合いません。(カード会社が儲かるように設計されていますから、当たり前ですが)
コストゼロで年会費割引
なんとか、利息を払わず、特典だけゲットする方法は無いでしょうか?
実は、あるんです。それは、一回あたりの支払額を限度額いっぱいにすることです。
マイ・ペイすリボや支払い名人は、自分で一回当たりの支払額を事前に決めます。これをショッピング限度額一杯にすることができるのです。もし、自身の限度額が100万円であれば、一回の支払いを100万円に設定できるのです。
三井住友VISAの場合、一回目の支払いには利息はかからないので、これであれば、実質一回払いと代わりません。少なくとも、この方法で、ANA VISAの年会費は、割り引くことができます。
上記の表をご覧頂ければわかるとおり、年会費が3,500円割り引かれます。一回当たりの支払額を、限度枠いっぱいに設定すれば、それ以降何の手間・コストもかからず、年会費の割引特典を受けることができるのは、かなりお得ですね。クレジットカードついて詳しい人は、この方法で、リボのメリットだけを享受しています。
参考までに、JCBのものになりますが、同様のサービスである「支払い名人」を適用中の請求明細を貼り付けておきます。右側の列にある"実質年率15%"にドキッとしますが、下をみると、手数料がかかっていないことが確認できます。
なお、一部のクレジットカード会社は、リボに設定すると、第一回目の支払から、手数料がかかる事があるので、各会社のルールをよく理解してから実施するのが無難です。手数料についての詳しい説明は後述します。
ポイントを2倍にする方法
ところで、陸マイラーはマイルを貯めています。上で書いた3つのメリットの一つ目のポイント2倍というのは、どうなるのでしょうか?
実はマイ・ペイすリボで、ポイント2倍のメリットを享受するには、利息を発生させる必要があるのです。上記で書いたような、支払い金額をショッピング枠と同額とするような設定では、利息が発生せず、ポイントが2倍にならないのです。
同社のHPには、こう記載されています。
はっきりと「 ご利用代金のご請求月に「リボ払い手数料」のご請求があることが条件となります。」と書かれています。なんとか、手数料(利息)を発生させなければなりません。但し最初に書いたとおり、うまくやらないと、15%の高金利に、全てのメリットが吹き飛ばされてしまうので、発生させる利息が少額になるように、コントロールする必要があります。具体的にどうするか?以下詳しく説明します。
利息発生と支払いのタイミング
最初に、マイ・ペイすリボで利息が発生する仕組みを理解しておきましょう。
ANA VISAワイドゴールドカードは、前々月16日から前月15日までのショッピング代金を、当月の10日に支払うスケジュールになっています。
例えば
- 3月16日~4月15日 → 5月10日支払い
ですね。この考え方は、マイ・ペイすリボの利息計算をする上でも重要です。
例をあげます。
- マイ・ペイすリボによる月の支払額を5万円に設定。
- 6月16日~7月15日に20万円のショッピングを実施。
- 8月10日 支払日
という状況の場合、8月10日の支払日には、利息は一切払う必要はありません。通常の一括払いのショッピングでも、この時点では利息はつかないので、当然といえば当然かもしれませんね。
引き落としの額は、月の支払設定額である5万円になります。つまり、15万円は残金として残ります。要するに借金です。借金には、利息が発生します。次の日の8月11日から利息が発生するのです。
- 8月10日は5万円のみ支払い(手数料(利息)無し)
- 残金は15万円(借金)→ 翌日の11日から利息発生
発生した利息は、いずれ支払わなければいけません。次の支払日は、9月10日です。
残金15万円は、9月10日まで残るので、8月11日から9月10日までの利息を、9月10日に払うんじゃないか?と思いますよね?でも、違うのです。
ここで思い出して頂きたいのが、締め日と支払日の基本的なスケジュールです。9月10日の支払対象は、7月16日から8月15日です。したがって、残金15万円に対して発生する利息も、9月10日に払うべき分は、8月15日までに発生した5日分だけです。その額308円。最初の20万円以降、全く買い物をしなかったとしたら、9月10日は、元金50,000円に利息308円を加えた50,308円の支払になります。
- 支払い日:9月10日
- 対象期間:7月16日~8月15日
- 対象期間に発生した利息:308円(150,000 x 15% ÷ 365 x 5 )
- 支払い額:50,308円
同様に、10月10日を考えてみましょう。支払対象期間は、8月16日から9月15日です。借金残高が15万円の期間は、8月16日から9月10日まで26日間です。9月10日に5万円の返済がありましたので、9月11日から9月15日の5日間の借金残高は、10万円になっています。26日間と5日間に分けて、利息を計算するとわかりやすいです。それぞれ、1,602円と205円になります。
- 支払い日:10月10日
- 対象期間:8月16日~9月15日
- 対象期間に発生した利息:8月16日~9月10日 1,602円(150,000 x 15% ÷ 365 x 26)
- 対象期間に発生した利息:9月11日~9月15日 205円(100,000 x 15% ÷ 365 x 5)
- 支払い金額:51,807円
50,000円の元金とあわせて、10月10日の支払額は51,807円です。以上が、利息の計算と支払いのタイミングの基本的な考え方です。
ポイント2倍獲得に向けた具体的なテクニック
さて、利息発生の仕組みを踏まえると、我々がとるべき具体的な方法は「請求額を一回で払わないで、少しだけ残す。そして、少しだけ利息を発生させる」ことです。
マイ・ペイすリボでは、月の支払額を必ず決めなければいけません。一方で、月々の買い物金額は、変動します。この条件だけでは、「少しだけ残す」というのは、実質的にほぼ不可能です。そこで、臨時増額という仕組みを使います。
まず、マイペイすリボで設定する月の支払金額を、普通にクレジットカードを使っていれば、下回ることのない低めの金額に設定します。そうすれば、毎月の支払額は、必ず月の支払固定額を上回ります。そして、その都度、「ちょっとだけ足りない」程度に増額申請をするのです。言い換えれば、元金を残すのです。
では、どの程度の残せばいいのか、計算してみましょう。
利息の基本的な計算は、元本 x 年利 ÷ 365(366) x 経過日数ですが、2016年はうるう年なので、366を使います。
この式の年利÷366日の部分の計算結果は、日利となります。年利15%ですので、日利は0.04%です。実際の計算に際しては、百分率表示ではなく、0.0004を使います。
利息が1円でも発生すればよいので、「元本 x 0.0004 x 経過日数」が1以上になればよいわけです。つまり、元本 x 経過日数の積が、2,500(1 ÷ 0.0004)以上になればよいわけです。経過日数、元金とも必ず整数ですので、以下の関係となります。
①元金 | ②経過日数 | ① × ② |
---|---|---|
¥2,500 | 1 | ¥2,500 |
¥1,250 | 2 | ¥2,500 |
¥834 | 3 | ¥2,502 |
¥625 | 4 | ¥2,500 |
¥500 | 5 | ¥2,500 |
¥417 | 6 | ¥2,502 |
¥358 | 7 | ¥2,506 |
¥313 | 8 | ¥2,504 |
¥278 | 9 | ¥2,502 |
¥250 | 10 | ¥2,500 |
¥228 | 11 | ¥2,508 |
¥209 | 12 | ¥2,508 |
¥193 | 13 | ¥2,509 |
¥179 | 14 | ¥2,506 |
¥167 | 15 | ¥2,505 |
¥157 | 16 | ¥2,512 |
¥148 | 17 | ¥2,516 |
¥139 | 18 | ¥2,502 |
¥132 | 19 | ¥2,508 |
¥125 | 20 | ¥2,500 |
¥120 | 21 | ¥2,520 |
¥114 | 22 | ¥2,508 |
¥109 | 23 | ¥2,507 |
¥105 | 24 | ¥2,520 |
¥100 | 25 | ¥2,500 |
¥97 | 26 | ¥2,522 |
¥93 | 27 | ¥2,511 |
¥90 | 28 | ¥2,520 |
¥87 | 29 | ¥2,523 |
¥84 | 30 | ¥2,520 |
¥81 | 31 | ¥2,511 |
(注) うるう年版 |
もし、リボ払いが適用される日数が5日の場合、500円の元本を残せば、1円の利息が発生することをこの表は意味しています。
例をあげます。
- 月の支払額:10万円
- ある月の請求額:136,478円
- 日数:5日
このとき、臨時で36,000円増額し、136,000円の支払とすると、残りの元金は478円。5日間の場合は、500円必要なので利息が発生しません。計算してみましょう。
- 478 x 0.15 ÷ 366 x 5 = 0.98 1円になりません。
この場合、増額は35,000円までにとどめ、1,478円の元金を残さなければなりません。
- 1478 x 0.15 ÷ 366 x 5 = 3 めだたく3円になりました。
ちなみに、増額申請は1,000円単位でしかできません。478円と1,478円だと3倍の開きがあるので、全然違うように感じますが、実際の利息はわずかに3円です。このわずかな利息負担で、ポイントが倍になるのです(繰り返しになりますが、付加されるポイントはボーナスポイントなので、マイルに換算した場合、レートは良くないです)。
上記は、マイ・ペイすリボを使い始めた最初の支払いだったので、利息の期間は5日(休日の影響により変わります)でしたが、2回目以降は、前月11日から当月10日までの1カ月、常にある程度の元金残がある形になりますので、利息の発生期間も30日か31日になります。
といっても、31日間ずっと2,000円の元金を残したとしても、利息は25円(2000円 × 15% ÷ 365 × 31)なので、微々たるものです。
ちなみに、31日間の場合、上の表から81円の残高があれば、1円の利息が発生することがわかります。
マイ・ペイすリボに申し込む
さて、これを念頭に、マイ・ペイすリボを申し込んでみました。7/9に到着したばかりのカードで、まだほとんど使ってません。8/10の最初の請求の大部分は本人及び家族カードの年会費ですが、10,000円は超えているので、リボができそうです。
Vpassのトップページの「リボ払い&キャッシング」にマウスを当てると、下のような表示になるので、「マイ・ペイすリボ」をクリック。
次のページの「お手続きの一覧」から、「マイ・ペイすリボ」のお申込みをクリック。インターネットからの申し込みとなります。
インターネットでの手続きを進めるために、次のページで「申し込む」のラジオボタンをクリックして、同意するをクリック。
ここで、月の支払額を確定します。8/10は、18,000円程度なので、最低額の1万円を入力して、確認をクリック。
すると!!最初の支払日は、9/12とのこと。8/10は、間に合わなかったみたいです。残念!! 9月だと支払い額が増える見込みなので、20万円で設定しました。
残念ながら、8/10には、間に合いませんでした。少額の取引で、練習をしようと思いましたが、叶いませんでした。実践は、9/12までお預けです。
最後はちょっとコケましたが、マイ・ペイすリボを理解する上で、この記事が少しでも助けになれば幸いです。
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